【藤井薫が語る】繁盛させるために、経営者が理解すべきこと

1.新規開業者が気を付けるべき3つのワナ

弊社の麺学校の卒業生が新しいお店を開店した場合、何ごともなく無難に開店する生徒さんもいれば、初日から問題が起きているお店もあります。大きな違いは、周到な「準備」と深い「思考」があるかないかの差です。今回は最近気になっている開店時における3つの陥りやすいワナをまずはご紹介します。

 

①見えないものが一番大切
「使命、価値観は明確か?」

氷山を見ても、海上に顔を出しているのは、ほんの1割程度で、残りの9割は海の中に隠れてます。窓の外に植えている樹木も、葉の広がりの広さと同じだけ地中に隠れた根が張っているので、葉が茂り大木を支えることが出来ているのです。

過去、うどん店のセルフのチェーン店が全国で伸びていた頃、多くの新規参入者がその成功事例をコピーしました。しかし、コピーした店は、どれもうまくいきませんでした。一番大きな理由は、見えるところしか、見ていないのです。ところが一番大切な部分は見えないところにあるのです。

麺専門店の場合、一番大切なのは「使命」「価値観」といった部分なのです。使命や価値観は、100軒の店があれば、100通りの使命と価値観があり、それぞれ異なっています。使命、価値観に忠実に基づいた本当の自分自身の店を作れば、他店と競争することはあり得ないのです。

使命と価値観を明確にせずにあやふやな状態で開店するとするとすぐに他店と価格競争になり1年を待たずに閉店してしまうこともあります。一生懸命がんばって開店をして価格競争をすることがあなたの使命でしょうか?使命とは、文字通り命の使い方。たった1回しかない貴重な人生をかけて、麺専門店を開く意味をまずご自分の中で理解してください。

それが明確になれば、使命自体がどんなことがあっても諦めない「理由」になります。詳しくは、私の著書等をご覧いただくか、或いは毎月開催している経営講義にご参加いただいて、理解度を深めてください。

 

②初め良ければ、すべて良し
「深い思考と周到な準備が大切」

多くの新規開業者が開業してから早期に閉店する大半の原因は、開店初日の営業状態の稚拙さです。

ほとんどの新規開業者は、開店日の大切さをまったく理解していません。最近はインターネットが発達しているので、どんな田舎で開店しても、開店初日に食べに来たお客様がフェイスブックやtwitter、LINEなどのSNS、または食ベログ等の飲食ビジネス専門サイトに写真を撮って掲載します。つまり、オープン初日にあなたのお店の商品や味、雰囲気が全国、いや全世界に公開されるのです。

弊社が運営するうどん学校の生徒さんの一人が、初日にお客さまを入れ過ぎ、長時間待たせてしまい、急ぐあまり出来の悪い商品を出してしまいました。すると、食ベログなどのサイトに、その出来の悪い商品が低い点数と共に掲載されてしまいました。その後、かなり頑張っているのですが、全然点数が上がらないのです。

弊社で教えている経営ノウハウの中で、「開店チラシを打たない」というのは現在の時勢を考えれば誰もが頷く常識中の常識です。

最初だからこれくらいで良いという考え方では絶対に今の時代は成功しません。加えて、開店日に向けてしっかりトレーニングができていても、初日には絶対に席数以下の料理数しか出さないことです。開店日から最高の95点以上の商品しか提供しないことを心がけてください。

開店後すぐに駄目になっているお店に行ってよく感じるのは、時代に合っていない、昔ながらのメニュー、昔ながらの店作り、昔ながらの接客と一昔前の状態をそのまま再現しているような店がほとんどです。

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③負け戦をしている
「駐車場の重要性を理解していない」

郊外型立地の物件を経営されているお客様で、弊社に経営相談される方が多いのですが、その原因のほとんどが、駐車場が足りていないというものです。いくら席数が充分であっても、駐車場台数が足りないと、お客さまは入店することができません。これはまさに戦う前から、負け戦に臨んでいるようなもので非常に勿体ないのです。

反対に席数が少なくても、駐車場が充分あれば、一旦駐車したお客さまは、並んで待ってくれます。料理の品質・サービスはそれほどでもないのに、駐車場がしっかりあって成功している店もあります。駐車場が何台必要であるかは、商圏分析をすれば簡単に分かります。商圏分析をすれば、そのエリアの時間別の人口、男女比、世帯数などがわかります。たとえば一人世帯が多いとわかれば、4人掛けテーブルは非常に非効率である、ということがわかります。

大和製作所の麺専門店用商圏分析は1住所3000円でご依頼を受けております。ぜひご利用ください。

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2.既存店経営者がしっておくべき売り上げが安定しない3大原因

次にすでに開業している既存店の方々へのお話をしましよう。同じようにお店を経営していても、繁盛する方と繁盛しない方に分かれてしまうのは、売上が安定しない「原因」を知っているかどうかです。繁盛させるために、知っておくべき3大原因は次の通りです。

 

① 3大原因その1 「武器が劣っている」

飲食店にとっては、商圏は戦場であり、他の飲食店とお客さまを奪い合っています。商品力は戦場での武器なのです。戦争において、武器が最新式で強力でないと勝てないのと同じように、貧弱な武器では勝負にならないのです。インターネットのなかった昔は、60点レベルの商品を提供していても、十分に勝負が出来る時代でしたが、インターネットが発達した結果、95点以上の高いレベルの商品を提供しないと勝ち残れない時代になりました。スポーツの世界でいえば、昔は県大会や、国体で優勝しても話題に上っていましたが、今はまったく話にならないのです。オリンピックや、ワールドカップクラスでないと話にならないのです。

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② 3大原因その2 「人で妥協している/従業員が育っていない」

工場勤務の場合は、たとえ仕事に慣れていない人が居ても管理がキチンと出来ていれば、大きな問題はない場合があります。ところが、麺専門店のようなサービスビジネスの場合は、お客さまがすぐ目の前にいて、瞬時のサービスに対応しなければいけないので、従業員のレベルは絶対に妥協してはいけません。

もし妥協してしまうと、目の前のお客さまを怒らせたり、気分を害して帰らせてしまうようになるのです。そして近年では帰らせてしまうだけでなく、facebookやtwitterなどのSNSによって接客態度がわるい従業員を撮影してインターネット上に掲載してしまうような、とんでもない時代になっています。

特に女性客の場合は、どんなに料理が美味しくても、接客で気分を害すると2度と来てくれません。男性客の場合は、料理が美味しければ多少接客が慣れていなくても、我慢して来てくれますが…。

これからの時代、女性客の取り込みが重要になってくるので、サービスの源泉になる人のレベルは絶対に妥協をしないことです。そして、誰を採用しても、教育でどのようにでも変えることが出来るとは思わないことです。人というものは簡単に変わることが出来ないのです。従って、最初に適切な人の採用が重要になります。

 

③ 3大原因その3 「トップになることを考えていない」

どんなに小さい市場でも、市場のリーダー(トップ)を目指すことです。これは、多くの店舗経営者、多くの新規開業者が忘れてしまっている大切なことです。
多くの方が、マーケットーリーダーになること、その市場でのリーダーシップを取ることに執着していないのです。ほとんどの店舗は売上を幾らにしたいとか、営業利益を何パーセントにしたいという目標や希望は持っています。そのような目標は、マーケットーリーダーになれば簡単に解決出来るのに、マーケットーリーダーになることを考えていません。

市場のリーダーになれるかどうかは簡単です。目指すかどうかだけです。目指せば、リーダーになるための必要な項目が分かりどうすればなれるかが見えてきます。

ですからまず、「目指す」ことが重要なのです。

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最後に、私か今注目している「サービスの重要性」についてお話いたします。

サービスを磨いて利益を上げる方法は次の2点になります。
Ⅰサービスプロフィツトチェーンの概念

我々のようなサービスービジネスが取り組まなければいけない大切な概念、それがサービスープロフィットチェーンです。お店が成功するには、多くのお客さまに来店していただくことは必須条件です。お客さまの満足度を上げ、何度も利用していただくことは勿論、自店のファン客、さらに営業員になってもらい、未だ来店していないお客さまに広めてもらうことが重要です。そのためには、次のようなサービスープロフィットーチェーンの善循環が重要なのです。

1.サービス企業の社内サービス品質が、従業員満足の原動力となる

2.高い従業員満足が、高い従業員ロイヤルティを生む

3.高い従業員ロイヤルティが、従業員の生産性向上の原動力となる

4.高い従業員生産性が、サービスの品質向上につながる

5.高いサービス品質が、高い顧客満足を生む

6.高い顧客満足が、顧客ロイヤルティを高める

7.高い顧客ロイヤルティが、企業の収益性と成長性の原動力につながる

8.上記1.に戻り、循環を繰り返す

以上がサービスプロフィットチェーンの循環です。

以上のように、最初は従業員満足度を高めるのがスタートなのです。その結果、高いサービス品質に繋がり、顧客満足度が高まり、企業の収益が上がり、更に従業員満足度が上がるというようなエンドレスの善循環が起きるのです。だから、一番先に店舗のオーナーがやらなければいけないことは、従業員満足度を高めることだったのです。

 

顧客満足度を上げ顧客ロイヤルティにつなげる価値方程式
顧客ロイヤルティが高まり、一人のお客さまが繰り返し店を利用してくださり、さらに友達に勧めるようになるには、顧客価値を高めることが必要です。そして顧客価値の方程式は次の通りです。

houteishiki

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