麺生地も人間も同じ!?~熟成の重要性~
「最近麺が切れやすくなった」「いつもはきれいな透明感がある麺なのに白っぽい麺にしかならない」等、麺のお悩みはありませんか。色々な原因が考えられる中の一つとして、『熟成不足』ということが考えられます。熟成には、さまざまな働きがあります。小麦粉一粒一粒に水を均等にいきわたらせる『水和』、麺の中にある気泡を抜く『脱気』、『酵素の活性』等。
麺の食感は、いかにしっかりとしたグルテン組織を作り上げられるかによって決まってきます。
古来から小麦粉は水車や手作業で製粉しており、伝統的なうどん製法に使われる小麦粉は、灰分が高い状態でした。そのため酵素活性が高い状態で、熟成時間が短くても十分美味しいうどんが作れていました。しかし、現代では製粉技術の発達により灰分が低く、白い小麦粉が多いため酵素活性が低く、熟成時間を十分に取らないと美味しい麺が作れません。その理由をひも解いてみましょう。
金属工学を応用し、内部応力(ストレス)を麺生地にも適応して考えてみました。例えば刀を作る時には、炉の中に入れて熱く熱したものを鍛えます。鍛える時に叩いていくと、金属の中に内部応力が発生してしまいます。発生すると堅くなり、更にそれを叩くと組織を破壊して刀は割れてしまいます。内部応力が発生したら「もう一回焼き直して温度を上げて焼きなおす」という工程によって、内部応力を取ってから鍛え直さないと組織が破壊されてしまうのです。
麺生地も同じで、ミキサーや手で練ると力が加わっているため、鉄を鍛えたのと同じように生地に内部応力が発生していて、熟成という工程が重要であることをつきとめました。発生した内部応力を緩和しないと麺生地は破壊されてしまいます。そのために必要なのが熟成という生地の内部応力を緩和する工程です。つまり、製造工程でグルテン組織が壊れてしまった麺は、茹でると弾力がないもろい麺になります。
そして、脱気されない麺はグルテン組織を破壊され、きちんと脱気されたものに比べると茹で延びしやすく、麺の中に小さな気泡が入ってしまい、茹でると透明感のない麺になります。また酵素の働きがよくなると、良い状態の麺ができます。
年間の中で一番良い麺ができる(製麺しやすい)季節は、春と秋と言われていますが、これは酵素の働きに一番適している気温だからです。ということは、気温・生地の温度を一定にできる環境を与えてあげることによって、年間通して、より安定した麺を作り上げることができるというわけです。
温度を管理できる熟成庫を活用したり、使われる小麦粉や水の温度にも気を遣って製麺し、お客さまにブレのない美味しい麺を提供しましょう。
このように、練った後に一定の温度で熟成した生地と、熟成していない生地では、触感、味、ゆで時間、すべてに違いがあったのです。
例えば、人間でも1日働いたら疲れが溜まります。皆さん休まずに営業したら疲れて倒れてしまいます。毎日ゆっくり休むことでストレスが取れて、次の日に元気に働けます。人間の体も麺生地も金属も同じなのです。
大和製作所が直営するうどん店「亀城庵」では熟成庫をつかって365日一定の温度で生地を熟成してうどんを打つようにしています。
大和製作所では、麺質の改善食材として、香川県から認可を受けた麺用の塩「46億年」や「サプライズ」という商品を製造・販売しております。
麺質が改善できますので、HPでご覧ください。
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